私は専業主婦だ。洗濯、掃除そして食事支度迄完璧にこなしてきた。料理のレパートリーが、少なかった私は、夫の栄養管理も含め、料理教室に通い料理の腕をあげた。
夫は私の工夫して作った料理を無言で食べる。美味しいの一言もない。結婚当初は、美味しい言って笑ってたべてくれたのに、今ではスマホをいじりながら食べる始末だ。料理をする気が失せる。スーパーの惣菜を食卓にならべても夫はきっと気づきはしないだろう。
ある晩夫は酔って帰ってきた。Yシャツとスラックスを脱ぎ散らかし、風呂に入った。私は仕方なく夫が脱ぎ散らかしたYシャツとスラックスを片付けようとYシャツを手に取った。するとYシャツの襟の部分に長い髪の毛が絡みついているのに気がついた。あれなんだこの髪の毛はと一瞬体が固まったが、直ぐに我にかえり、夫は女と一緒に呑んでいたのだと気づいた。しかし、何故Yシャツの襟の部分に髪の毛が絡みつくのか、どう考えてもおかしいし、怪しい。夫は女とただ呑んでいた訳じゃ無さそうだ。1回Yシャツを脱いだ可能性がある。私は何かの役にたつかもしれないと思い、髪の毛をジップロックに入れて保管した。
それ以降、私は夫の言動を注意深く観察するようにした。髪の毛の事を夫に追求しようかとも思ったが、些細な事で喧嘩してもただお互い嫌な思いをするだけだと自分に言い聞かせ、もっと建設的に処理する方法を冷静に考えた。
私は、1人て悩んだ。どうしてもあのジップロックに入っている髪の毛の事が気になって仕方がなかった。私は我慢できず、友人に昨夜の出来事をありのまま話した。友人は黙って私の話を聞いて、一言、それ浮気だよ。と私の代弁者のごとく言った。そう私も夫は浮気をしていると思っている。友人は間違ってはいない。この先私はどうすればいいのか友人にアドバイスを求めると友人は黙って私にスマホを見せ、そこには探偵社のホームページが載っていた。探偵に浮気調査を依頼するの?と友人に尋ねると、それしかないでしょ!と強気な友人。心強い友人だ。私は友人の後押しのおかげで、探偵に浮気調査を依頼する事が出来た。浮気調査がどういうものか私は具体的には分からなかった。もし本当に夫が浮気していたらどうしたらいいのか、考えていたら、悲しくなった。でも現実から逃げる訳にはいかないと強く思った。私は浮気調査を依頼した。もし夫が浮気していたら私は離婚しようと決めた。覚悟はできた。賽は投げられたのだ。後は浮気調査の結果を待つだけだ。夫よ。私はこれまであなたに尽くしてきた。主婦として、そして女としてもだ。もしあなたが私を裏切ったら私がピガピカに掃除してきたこの家から必ず追い出しますからね。
