女の勘はよく当たる。特に私の勘は、冴えわたるのだ。私の夫は、気真面目な性格で、嘘がつけたいタイプだ。最近夫は帰宅が遅い。何か変だ。いつもの夫では無いような気がして仕方ない。私は分かるのだ。夫は何か隠し事をしている。それが一体なんなのかはっきりとは分からないが、明らかに怪しい。
これまで夫と喧嘩になり、口論になると夫は、得意の黙りを決め込む。まるで貝の如く。今回の夫の言動は、明らかに不審な点が多い。髪型を変えてみたり、私と目を合わせると直ぐに目線をそらす。怪しさだけが伝わってくる。
私は夫に問い詰めようと考えたが、どうせ問い詰めても、いつもの黙りを決め込まれるだけで、話が前に進まない事は分かっている。
私は迷うことなく、博多区にある探偵社に夫の浮気調査を依頼した。夫の秘密を暴いてやると意気込む私。
浮気調査の結果は浮気調査を依頼してから2週間後に出た。あの気真面目だけが取り柄の夫が、若い女性と浮気している事が浮気調査によって明らかになった。
私は今回の嫌な予感は、こういう事だったのかと1人納得していた。探偵が今後の対応について話していたが、私の耳には、全く入って来なかった。私は探偵社を後にして、家に帰り、これからどうすればいいのか、コーヒーを飲みながら考えていた。嫉妬心は、勿論抱いているが、気真面目な夫が、私を裏切った事に私は怒っているのだ。そう考えているうちに、飲んでいた淹れたてのコーヒーは冷めていた。そのコーヒーのように、私の夫への気持ちも冷めてきている。長く連れ添ってきた2人に、終止符が打たれるの日も近いと私は考えている。
離婚を前提にこれからの事を考えていた。有利に離婚するには、夫に浮気をしたことを認めさせなければならないだろう。私は夫の帰りを待った。夫は最終電車に乗って帰宅した 。私は待ちくたびれて、苛立ちを隠しきれなかった。帰ってきた夫に直ぐに駆け寄り、あなた私に何か隠し事してない?と苛立ちながら尋ねた。夫は、何食わぬ顔で、そんな事ない。と言って、書斎へ入っていった。私は諦めず、夫を問い詰めた。書斎に入り、浮気調査から得た証拠を夫に黙って見せた。すると夫の態度が急変した。これは出来心だ。ただの友達だ。と間抜けな言い訳を必死に行っている。そんな姿を見てなんて情けない男だと思った。浮気の証拠があるにも関わらず、今だ言い訳をしている夫が惨めに見えて仕方なかった。
男らしく浮気を認めて謝罪すれば、私の気持ちも少しは救われたかもしれない。私は男らしくない夫とは、もう一緒には、生活は出来ないと心底思ってしまった。私は夫と離婚する道を選んだ。情けない夫よ。私はあなたと離婚します。
