夫は私の横で、静かに幸せそうに寝ている。その顔見ていると枕を投げつけたくなる。私の苦しみ、悲しみも知らずに。
私は夫の浮気で悩んでいる。夫は浮気がばれている事を知っている。言わば浮気を公認している状態だ。夫は平気な顔して浮気を続けている。私の気持ちなどないがしろだ。
私は夫の浮気を許している訳ではない。しかし、夫は、浮気を止めない。こんな状態が続くと私の心が壊れていく。離婚するしかないのかと考えているが、私は浮気性の夫をなぜか愛している。
私は夫の浮気相手を調べてみようと思った。ネットで浮気と検索すると探偵社のホームページが出てきた。どこに浮気調査を依頼していいのかわからなかったが地元福岡の探偵社に浮気調査の依頼をした。夫が浮気していることはわかっている。夫が浮気相手と二度と会えないようにしたいのだ。浮気の証拠は簡単に撮れるはず。私はその浮気の証拠を浮気相手の女性に叩きつけて慰謝料を請求したい。そして、二度と私の夫と会わせないようにしたいのだ。ネットで調べてみた誓約書のひな型を参考にして誓約書を作成した。慰謝料請求の金額と文言の中に二度と私の夫と会わない。もし再度私の夫と会った場合は、慰謝料の二倍を請求する。書き加えた。
浮気の証拠は依頼から一週間後に出てきた。夫は週に三回もラブホテルに言っていた。呆れてものも言えない。よくそんなにセックスができるものだ。しかもラブホテル代だってかさむ。そんな余裕は家にはないはずだ。恐らく夫は遊び代欲しさに消費者ローンからお金を借りているだろう。
なんとしても私は二度とあの女と会えないようにしなければならない。
日曜日の昼過ぎ私は、浮気相手の女性の家のインターフォンをならした。私が名前を名乗ったら、浮気相手の女性は慌てた様子でカギを開けた。
私は怒りで緊張するのを忘れた。私は用意されたスリッパをはかずにリビングに向かい歩いた。
そして、ドサッとソファーに座り、「お構い無くこっちに座って下さい。」と怒りを押し殺して言った。女は黙って私の横に私と距離をおいて座った。「主人がたいそうお世話になっているようで。」と嫌みたらしく言うと、女は申し訳ありません。と俯いたまま小さな声で言った。
私は一刻も早くこの薄汚い家から出たかったので、早速本題に事務的に入った。浮気の証拠は見せずに誓約書を読ませて納得させ、納得しなければ浮気の証拠を見せようと考えた。これはこの家にくる道中に考えていたことだ。
女は黙って誓約書を読み、誓約書に署名捺印した。以外と簡単に示談交渉は終わった。
私は「二度と私の夫に近づくないで下さいね。」と笑顔で睨み付けた。
女は「二度とご主人とはあいません。お約束します。本当に申し訳ありませんでした。」と頭を下げた。
私は、示談交渉が上手くいってほっとしたらお腹がすいてきた。私はお肉が食べたくなったので、慰謝料も入る事だし、すきやき用の高いA5
ランクのお肉を買って家に帰って夫と仲良く食べようと思った。
夫よ。今回の浮気を許してあげる。二度目はありませんから。私はお肉屋から出て夫の今回の浮気は許せると思った。それは、浮気相手の女性ともう二度夫と会わないと約束させ、示談交渉ができたからだと思う。
探偵に浮気調査を依頼して本当に良かった。
