私の妻が福岡の探偵社に浮気調査を依頼したことはわかっている。キッチンの下に隠してあった委託契約書を見つけたからだ。私は慌てなはかった。いたって冷静でいられた。なぜなら私は浮気調査の方法を心得ているからだ。私には探偵をやっていた友人がいる。浮気調査の事をよく酒を飲みながら興味深く聞いていた。浮気調査で浮気となる証拠は何が必要なのか元探偵の知人が話してくれた。不貞の事実を立証するにはラブホテルの出入りや居住先からの出入りを撮る必要があり「これが以外と難しいんだよな」と元探偵の知人が嘆いた事を覚えている。
私は妻を愛しているが、浮気相手の女性も愛している。
私の人生においてどちらも必要な存在なのだ。これから私に探偵が張りついたとしても私は浮気相手の女性と別れる気なんか更々なかった。福岡の探偵社が浮気調査で私の浮気の証拠を撮れるもんならとってみろとすっかり冷めてしまったコーヒーを飲みながら思い、新しいコーヒーを淹れた。書斎に座り淹れたてのコーヒーを飲みながら浮気相手の女性の事を思った。彼女は所作がとても綺麗で落ち着きがあり、楽しく会話が出来る。夜の営みは真逆で荒々しく乱れる。そのギャップが私を虜にさせるのだ。私は彼女と絶対に別れる気はない。妻は大学からの付き合いで気心が知れている。私をこの世で一番理解している女性だ。私は妻とも絶対別れるつもりはない。
さぁ。どうやってこれから探偵と戦っていくか対策を考えなければならないだろう。至って簡単だ。怪しいと思う人物や怪しい車がいたら片っ端から声をかけ、発覚させてしまえばいいのだ。これは元探偵の知人がよく言っていた言葉だ「浮気調査で一番厄介なのは発覚」だと。徒歩で歩いているときは後方から来る人物を確認する。どうやってって後ろ歩きをするのさ。探偵が近づきにくくして尾行を巻くこと。発覚させれば証拠は撮りづらくなる。そのうち稼働時間が無くなりジ・エンド。元探偵の知人の言葉をよく思い出して探偵と戦ってやる。
かかってこいよ、福岡の探偵達よ❗
