私は福岡の探偵に浮気調査を依頼した。探偵に依頼したことがばれないように委託契約書はキッチンの下に隠しておいた。
次の日私がキッチンの下に隠しておいた委託契約書の位置がずれているのに気づいた。
「あら、ずれてるってことは夫は福岡の探偵社に浮気調査の依頼をしていることがばれていることになる。しかも調査期間までばれている」と私は爪をかみながら思った。
今日の夫は何時もより早いご帰宅だ。
腹が減った、飯にしてくれとせがむ夫。
私は用意していたクリームシチューを温め夫と一緒に食べた。食事中もたわいのない会話が続くがいつもと同じ夫だ。私が探偵に浮気調査を依頼したことを夫は確実知っているはずだ。なのに夫はなに食わぬ顔で私と話し、クリームシチューを食べている。なんとあざとい夫なんだと私の夫ながら感心してしまった。いやいや感心している場合ではない、多額の調査費用をかけ夫の浮気の証拠を掴み憎き浮気相手の女性へ多額の慰謝料を請求してやろうと思っているのに。
浮気調査をされていると知った夫は危険を感じてしばらくは会わない気でいるのかと想像したが、夫はそんなたまではない会いたいと思ったら必ず浮気相手の女性に会いに行くはずだ。私は福岡の探偵社に浮気調査を依頼した事が夫にばれてしまった以上、浮気調査の証拠が取れるまで時間がかかると覚悟した。これこそ根比べだ。どうか福岡の探偵さん、夫の浮気を証明してくれと願った。夫はソファーに横になり、テレビを観ている。夫は警戒して帰宅が早いのだ。その翌日も夫は早くに帰宅した。夫が早く帰宅してしまうと浮気調査が進まない。「今日こそは夫よ遊んで帰って来てくれと手を合わせ願う私だった。」
