私は探偵につけらていると分かってから、浮気相手の女性と会うことを避けている。それは彼女の要望だった。
彼女は私の妻が浮気調査を探偵に依頼したことに対してナーバスになっている。もし浮気の証拠をとられれば二人の関係が終わってしまう。
あなたと別れるなんて絶対にいや。別れるようなことがないよう用心深くすごさなければと深刻な顔して訴えてきた。私は彼女の思いを尊重した。私も彼女と別れたくないからだ。二人はお互い同じ気持ちだった。しかし私は彼女に会いたいという気持ちを抑えきれなくなっていた。私は最近、仕事が終わると真っ直ぐ帰宅している。私は探偵に浮気調査を依頼した妻と平静を保ちながら過ごしている。妻もなに食わぬ顔で私と接する。騙しあいの関係が居心地を悪くしている。騙しあいの夫婦生活が続くと思うと嫌気がさしてきた。探偵には負けないと豪語したが騙しあいの夫婦生活がこんなに苦痛だとは予想していなかった。私の誤算である。
探偵は私が直帰しているものだからやきもきしているに違いない。もしかしてすでに別れているか、身内発覚しているのかと調査が進まないことに苛立っていることだろう。妻は探偵に夫に浮気調査がばれていると説明しているのかもしれない。探偵はいつどこで調査を入れば良いか頭を悩ませているはずだ。私は彼女に会いたいと思う気持ちを抑えしばらく様子をみようとおもいはじめた。
調査依頼から10日が経った。私は彼女会いたい衝動にかられち。探偵は週末辺りを調査するのではないかとにらみ明日水曜日に妻には内緒で有給を取り、人通りの多い博多駅の筑紫口で朝の九時に彼女と待ち合わせをした。久しぶりに彼女の笑顔をみて私はこころが疼いた。今すぐにでも彼女を抱きしめ、淫らな感情が燃え上がった。彼女とは少し離れて歩き、二台に別れてタクシー乗り祇園にあるワシントンホテルへいくことにした。私が先にチェックインしてからしばらくたって彼女が部屋へ入ってきた。計画通りの行動を取った。これなら探偵は私達の行動は掴めないと踏んだのだ。私達は久しぶりにあったせいか激しく求めあった。彼女は荒々しく乱れ私はそれを見て激しく興奮した。二人は流れるような汗をかき愛し合った。最高な気分だった。私はより彼女を愛しく思え彼女はなんども絶頂した。
二人が帰る時は、ワシントンホテルを彼女が先に出ていきしばらく経ってから私はチェックアウトした。その後私は彼女の自宅に行こうと思ったが警戒して躊躇した。荒々しくあえぐ彼女の事を思いながら私は近くのネットカフェで帰宅時間迄時間を潰すことにした。ネットカフェで不貞行為の定義を調べてみた。とある弁護士のホームページに書かれている内容では、不貞とみなられる行為はまずは継続した関係であること、次に二人だけの空間で過ごしていることの立証とあり、ラブホテルやホテル、旅館、居住先と明記されていた。ラブホテルならば一回もしくは二回の出入りを撮られたら不貞とみなられる。普通のホテルだと三回から四回の出入りが不貞の証拠として認められるとのことだった。だとしたら女性宅での出入りは何回撮られたら不貞とみなされるのかと調べてみると宿泊なら五回以上、二時間以上の滞在は七回以上とかかれていた。あくまでもこれまでの裁判の事例からみちびきだされた不貞の定義として定められたもののようなだ。ラブホテルの出入りを撮られたらやばいということを強調されて書かれている。私は絶対にラブホテルは使わないと思った。なるべくホテルか女性の家で密会することにしようと狭いネットカフェの中で思うのだった。
こんなに生活が2か月続いた。浮気相手の女性とは頻繁に会うようになって行った。警戒心が薄れていったのだ。そして、もう探偵は調査をしていないと思ってもいた。
委託契約書をみてから2ヶ月半が経過した頃だった。私は彼女の家に寄り、帰宅した。妻は台所でビールを飲みながら私を台所へ来るように手招きをする。何かと思い妻の所にいくと探偵からの報告書がテーブルの上に置かれていた。私はまさかと思わず一歩のけぞりなんだよ、それは?と妻に白々しく聞いた。
妻は「あなた私が探偵を雇っていたこと知っていたわよね?それでも彼女と別れずによくしゃしゃーと彼女と会うことができたわね」とその言葉には強い怒りが込めらていた。もしかして全部ばれているのか?と半信半疑で聞いてみると、「報告書見てみれば」と素っ気なく答えてきた。
恐る恐る浮気調査の報告書を見てみると私が彼女の家に出入りする姿が数回撮られていた。何故だ?と心で思った。あれだけ注意を払って密会していたのに。
うかつだった。不審な人物も車もなかった。探偵はどうやって取ったのかと頭を掻いた。妻は私に言った「あなたに浮気調査がばれたから1ヶ月ほど調査を伸ばしたのよ。そしたらいつかボロが出ると踏んでね。あなたを泳がせたのよ。思い通りになったわ」自慢げに言う妻に私は何も言えなかった。探偵なんかに負けないと豪語した自分が恥ずかしかった。自信過剰だった。そしてうかつだった。私はすっかり油断していた。妻が一枚上手だった。私の完敗だ。
私は自分の欲望に負け、福岡の探偵に負けたのだ。
