今は深夜の一時。夫はまだ帰宅していない。私は眠くなってきたのでベッドへ行こうと思っていたらガチャッとマンションのドアが開く音がした。玄関に行ってみると夫は泥酔していた。玄関で寝られては困ると思い、夫に水を飲ませなんとかベッドまで運んだ。このまま寝かせてはスーツに皺ができると思いまずは上着から脱がせた。夫は大柄なので上着を脱がせるのに一苦労した。やっとの思いで上着を脱がせスラックスも脱がせた。スラックスを脱がせた時夫のパンツが裏返しになっていることに気づいた。靴下も脱がせたら靴下の片方だけ裏返しになっていた。夫は高いびきをかいている。今問い詰めることは無理だと考えたがやるせない気持ちになった。なぜパンツと片方の靴下が裏返しになっていたのか。不信が募りその晩は結局朝まで眠れなかった。
私は自称アイロンマニアだ。カッターシャツ用のアイロン、簡易的にできるアイロン、勿論スチームアイロンは欠かせない。バスタオルからパンツ、靴下までアイロンがかけられるものは全てアイロンをかけなければ気がすまないたちだ。夫は朝シャワーを浴びる習慣がある。なので朝は必ずパンツとカッターシャツを準備するのは私の仕事の一つだ。今朝もカッターシャツとパンツを用意した。シャワーを浴びてパンツ姿で朝食をとる。その際確かにパンツは裏返しになっていなかったと思う。きちんとアイロンかけしたパンツを裏返しにはける訳がない。もし裏返しにはいていたら指摘していたと思う。どう考えても夫は会社が終わり帰宅する迄にどこかで裸になっていると考えると疑いが止まらなくなった。追及する以外に解決方法は見つからない。しかし夫に追及したところで埒が明かないことはわかっていた。所詮水掛け論になるに違いない。密かに福岡の探偵に浮気調査を依頼することにした。夫は泥酔するまでお酒をのみどこで裸になっているのだろう。探偵に依頼して真相が知りたかった。浮気をしているのならそれで真実を受け入れるつもりでいた。
一週間後福岡の探偵から浮気調査の報告を受けた。探偵は黙って一枚の写真を手渡した。その写真をみて私は唖然となり目を疑った。夫は真っ裸でよつんばいになり苦笑を浮かべムチでぶたれていたのだ。これって浮気なんですか?と私は探偵に恥ずかしながら尋ねた。探偵は端的に風俗は不貞とはみなされませんと答えた。
私は、探偵事務所を出て帰宅途中あの映像がまぶたに焼き付いたままだった。夫を責めることは出来ないと思った。これは浮気ではなく夫の性癖なのだ。多少夫の性癖に気持ち悪いという感情をおぼえたが、夫の性癖を認めるというか受け入れるべきだと思った。やっぱり私は夫を愛しているから。
私は、帰宅してお湯を沸かしインスタントコーヒーを入れた。PCの電源入れ立ち上がるまでコーヒーを飲んだ。一息ついて冷静になった私は夫の性癖を受け入れることにした。早速わたしはアマゾンでsm用のムチを購入した。今日から私が女王様よ。
