朝早く私の携帯電話がなった。相手は大学時代の友人だった。友人は声に覇気がなく話している。一体こんな朝早くどうしたのと思うと「突然ですまないが金を貸してくれないか、200万円は持っているが100万円がどうしても足りないんだ。」と金策の話だった。
「なぜ100万円もの大金が必要なのか話してくれないか。そうでないと金は貸せないよ」と言うと友人は事情を話し始めた。
「実は、私は浮気をしていた。相手は同僚の女性だ。会社の親睦会で仲良くなり、お互い家庭を持っているが恋仲になってしまったんだ。なってしまったというかお互いがリスクを抱えたまま大人の関係になったんだ。お互い絶対にばれないようにと細心の注意を払い、警戒しながら密会していたんだが、お互い止められない思いが危険な関係を継続させた。」
「しかしいきなり先週の土曜日自宅に内容証明書が送られてきたんだ。
「内容は貴女が私の妻と浮気をしたことで受けた精神的苦痛に対する慰謝料の請求だった。」
「内容証明書とは別に私と浮気相手つまり彼の妻とラブホテルに入る写真が数枚同封されていたんだ。」
「要は浮気相手の旦那が探偵に浮気調査を依頼して浮気の証拠を探偵に撮られてしまったんだ。それで慰謝料として300万円請求されているというわけだ。」
「あれだけ警戒して密会していたが探偵に浮気している証拠をばっちり撮られてしまった。浮気が始まった当初は警戒していたが何度か会ううちに知らず知らずお互い警戒心がなくなってしまった。まさか浮気相手の旦那が探偵を雇い浮気の証拠を撮られるなんて思ってなかった。こんな惨めな話しお前にしか話せないよ。」と恥じらうように参ったよと言いながら事情を話した。
それを聞いて私は「自業自得だな。浮気の代償は高くついたな、100万円を貸したらいつ返せるんだ。」「来年の夏のボーナスで一括で返す」と浮気をした友人は答えた。私は「わかった貸してやる。その代わり自分の女房を大事にしなよ。」と言って金を貸すことを承諾した。
電話を切った後妻がコーヒー淹れたからどうぞと言うのでリビングに行きコーヒーを妻と一緒に飲んだ。妻が「朝早くから誰から電話だったの?」と聞いてきたので「大学時代の友人が100万円貸してくれっていうめんどくさい話だったよ。」というと「それで貴方はお金貸してあげるの?」「あー貸してやる。」妻はなぜその人はお金が必要なのか聞いてきたので「浮気した代償だよ。」と答えておいた。妻は「浮気」と驚いた声で話す。私は友人がもめ事になった経緯を話した。「浮気相手の旦那が探偵に浮気調査を依頼して浮気の証拠を撮られてしまったらしい。」妻は「貴方は浮気してないわよね」と言うので「俺にはお前がいる」とちょっとキザなセリフ吐いた。
