早朝から携帯が鳴った。相手は依頼者からだった。
朝から妻が怪しい行動を取った為、今からすぐに調査してくれと焦った声で電話してきた。
どんな行動をとったのか状況を確認すると妻がこそこそメールをしていたので携帯を見せろと言ったら嫌だと断られ押し問答になってしまったそうだ。それを聞いて探偵は対象者はかなり警戒しているはずと思った。
急な調査にも対応するのが探偵だ。しかし対象者の移動手段は自転車だと言う。自転車を準備していたら時間を取られる。探偵は車で自転車を尾行する事にした。急な依頼の為にはこの調査方法しかなかった。勿論リスクは高い。自転車を乗りながら安全確認の為後ろを振り向くのは当たり前の行為だ。そんなとき同じ車が後ろを振り返る度に居たら怪しまれ警戒される。ここは探偵の腕の見せ所だ。先ず自転車で行動する範囲は家からそう遠くは動かないはず。怖いのは自転車で移動して浮気相手の車と合流されてしまうことだ。ならばかなり距離を詰めて尾行しなければならない。その分警戒を与えることにもなる。先回りして対象者を捉えたり、コンビニの駐車場で待機して尾行したり工夫しながら失尾しないように調査を行わなければならない。いきなりUターンされたらあわてて車もUターンさせなければならない。自転車だとUターンは簡単だが車はそうはいかない。自転車を車で尾行するのは難しい。あまりにも警戒されたら最悪尾行を中止する勇気も必要になる。要は与えられた時間で浮気の証拠を撮ればいいのだ。
ただ今回の様に依頼者がどうしても調査を今すぐやってくれと言われた場合は、最初に警戒される可能性もあることを了承してもらう必要がある。調査にはある程度事前調査が必要だからだ。今回の調査はバタバタした調査になった。
最終的には浮気調査は成功しましたが厳しい調査だったがやりがいのある調査でもあった。
