私は夫を出会った頃と変わらず愛している。夫は最近太ってきている。食事の管理も妻の務めだ。塩分を控え、糖分を抑えた料理を作ろうと献立を考えた。味は少し薄味になるが健康のためだ。しばらくすればその味になれてくれだろうと思いながら今日はロールキャベツを作ろうと買い物に出た。外はまだ蒸し暑く、嫌悪感を感じた。
私はお肉屋に行き牛のミンチを400グラム購入した。キャベツは昨日の回鍋肉で使ったものが残っているのでそれを使おうと思って八百屋には寄らなかった。
ここ最近、夫は飲み会が増えている。夕飯を作っても食べない事が多い。せっかく体に良いものを作っても外食ばかりでは夫の体に良くない。なぜこんなに食事会が多いのか疑問に思ったが、仕事関係のお付き合いだと思って仕方ない事なんだと自分に言い聞かせた。しかし、夫の体が心配だ。
私達は日曜日久しぶりに家で夫と二人で食事をした。「最近あなた太りぎみだから食事制限しないとね。味は少し薄味になりますけど健康の為ですから味に慣れるまで我慢して下さいね。」と夫に食事の事を話した。夫は「わかった。ありがとう」と言って黙々と私の料理を食べている。私は疑問を抱いて、なぜ最近食事会が増えたのか聞いてみた。夫は仕事関係の付き合いが増えたからだよと私が思っていた答えが変えってきた。私はそうですか。としか返す事が出来なかった。
私の疑問は払拭できなかった。夫の態度に不信感を抱いたからだ。夫は私と目を合わせようとしないのだ。何か隠しているように思えて仕方なかった。夫は食事を終えるとリビングに行き携帯をいじっていた。私は夕飯のかたずけをしながら、夫が携帯で何をしているか気になっていた。誰かとメールしているのではないかと思ったが不確かだ。夫にあまりしつこ追及すると怒りだすと面倒なのでなかなか追及出来なかった。
夫は普段は穏やかだが、機嫌が悪くなったら怒りだす。そうなると手がつけられなくなる。夫を怒らせないように私は夫と接している。それは本当の意味で夫とはコミュニケーションがとれていないと思う。現に夫は食事の後私と会話もせず携帯をいじっている。私は夫にコーヒーでもいかがですか?と尋ねると、即答で要らないと言われた。なかなか夫とコミュニケーションが取れない、もどかしい思いに苦しんだ。
夫の生活パターンを私は考えていた。よく考えてみると夫は月曜日と金曜日は、必ず終電で帰ってきている。なぜ決まって月曜日と金曜日は、帰宅が遅いのか疑問は風船のように膨らんで行った。夫に追及したところで逆ギレされるのが関の山だ。私はどうしていいのか悩んだ。一人で悶々と悩んだ。
夫の言動には怪しいところがたくさんある。もしかして夫は浮気しているのではないかと思い始めた。そう思い始めたら私の猜疑心は止まらなくなった。夫はきっと女がいる。そうに違いない。確かめる方法はないか考えた。やっぱり興信所に浮気調査の依頼をするしかないかと思い始めた。浮気調査っていくらくらいかかるのか、値段だけでも聞いて見ようと地元の博多区にある興信所に問い合わせた。興信所の相談員に夫の行動を話した。夫は月曜日と金曜日が帰りが遅いのです。もし月曜日と金曜日の勤務後を調査してもらったらいくら位になりますか?と尋ねたら相談員は20万位だと言われ、それくらいなら私のへそくりで払えると思い、私は思いきって浮気調査をお願いした。
私は浮気調査の結果を待った。夫は決まったように月曜日と金曜日は終電で帰宅した。恐らく浮気調査の結果は来週にでも上がって来ると夫のYシャツにアイロンをかけながら思った。
月曜日のお昼頃、興信所の相談員から電話があった。浮気調査の結果が出たので相談室迄来てくださいと言われたので興信所の相談室へ簡単に化粧して向かった。
相談室に着いたのは13時過ぎだった。浮気調査の結果をドキドキしながら聞いた。夫は同僚の女性とラブホテルに月曜日と金曜日に行っていたことが浮気調査から判明した。私はやっぱりかと拳を強く握った。今後、私はどうしていけばいいのか不安を抱きながら考えていた。すると相談員さんが「浮気の証拠は強いものです。離婚するにしても修復するにしても強い武器になります。離婚も大変ですが修復には時間がかかるかもしれません。証拠はとれているので、時間をかけて今後の事を決めてください。」とアドバイスをいただいた。
私は浮気調査の証拠をカバンに入れ相談室を後にした。私は家に帰りたくなかった。近くに喫茶店があったので、コーヒーでも飲もうと喫茶店に入り、コーヒーを飲みながら夫との事を考えていた。夫の浮気を私は許せるだろうか、実際許せるか自信がなかった。夫に対してけがわらしさを感じた。こんな感じだと今日、夫と会うことさえ抵抗を感じている。私は夫が帰宅する前に5日分の着替えも持って実家に行った。夫とは今は顔会わせたくなかったのだ。
私には時間が必要だった。夫から何度も電話があったが私は応答しなかった。夫は好き勝手していた。ラブホテルになんて行っていた。やはり私は夫を許せない。離婚するにしても私は夫と直接話しをしたくなかった。夫に会わずに離婚する事にした。代理人を立てて離婚すようと思っている。私は本当に夫を愛していた。それだけに私は夫の浮気を許せなかった。
私は涙も出ないほどショックを受けた。私は夫を失った。裏切られた感情、悔しい感情が私を孤独にした。
