私の旦那は半年前に浮気した。博多区の探偵社に浮気調査を依頼し、浮気の証拠を撮ってもらい離婚することにしていたが簡単には別れるのもしゃくにさわるので別居することにしたのだ。
旦那の浮気相手は職場の事務員さんだった。よくあるケースだ。陳腐なドラマ並みの浮気だった。私と別れ旦那は浮気相手と一緒になるつもりだ。だから私は離婚に応じず別居することにしたのだ。有責配偶者は三年間は離婚の申請は出来ないということなので三年は別居状態は続くだろう。先のことはわからない。もしかしたら私にも他の男性と縁があるかもしれないと思っては見たもののあり得ないと思い直した。
ある日トイレの換気扇が作動しくなったので大家さんに連絡をして修理してもらうようにお願いをした。
翌日換気扇の修理をしに来た方がなんと高校生の同級生だったので二人で驚いて一瞬だげはしゃいだ。実は高校時代私は彼の事を好意に思っていた。あの頃の淡い感情が思い出された。換気扇も修理してもらい冷たい麦茶をだしたら喜んで一気に飲み干した。よっぽど喉が乾いていたのだろう。私は二杯目の麦茶を差し出した。「元気にしてた?」と尋ねると「そうだね。元気だけど最近離婚して寂しく生活をしているんだ」と頭をかきながら彼は答えた。「私も離婚はしてないけど旦那の浮気が原因で別居中なのよ。」彼はそれは大変だね、離婚はしないの?と聞かれたので、「簡単には離婚しない」と意地悪そうに答えた。
高校時代に好意を抱いた彼は高校時代より少し太って見えるがやはりいい男だ。仮に私が彼にアプローチした場合浮気になるのかどうなのか考えたが、思い出は思い出のままがいいと思いアプローチはしなかった。
二杯目の麦茶を飲み干した彼は「では換気扇は修理しているから大丈夫だよ」と言って機材を片付け帰る支度をした。帰り際に彼から電話番号を書いた紙を渡された。「時間あったら連絡して、飯でも行きましょう」と言って去って行った。
私は渡された紙をしばらく眺めた。旦那の浮気で別居していて他の男性と関係を持つのはやはり筋違いだと思い、思いきって彼の電話番号が書かれた紙を破りすてた。
あーやっぱり食事くらい一緒に食べればよかったと後悔したが旦那との関係がはっきりするまでは不埒な行動は出来ないと自分に言い聞かせるのだった。
