最近肌寒くなってきた。それもそうだ。もうすぐ9月も終わろうとしている。本格的に秋が始まる。食欲の秋、読書の秋、映画の秋、秋は短いけれど楽しみが満載だ。
私は半年前から中途雇用されてきた女性と浮気をしている。まだ付き合って間もないが二人の関係は急激に盛り上がった。一緒に映画を見に行ったり、食事をしに行ったりと彼女と過ごす時間は、平凡な生活から一気に華やかなものとなった。彼女は私が既婚者だということをは承知の上で付き合っている。
私の妻は勘が鋭いし、嫉妬深い、こんな華やかな生活が長く続くはずがないと思っていた。私は時限爆弾を抱えながら彼女との関係を継続した。
私は彼女に引かれた。たまたま親睦会で隣の席に座った。その時、食事を皆に分ける作法が、奥ゆかしく、食事の仕方も美しく、その所作に引かれた。
私はなかば強引に彼女を口説いた。既婚者の身でありながら夢中で口説いた。妻にばれたら大変な事になることは承知の上で口説いた。
彼女は私の強引なアプローチに根負けしたのか私達は大人の関係になった。仕事が終わると二人で食事に生き、必ず私達は、ワインを呑んだ。その後はラブホテルに直行するのが私の生活パターンとなった。しかし、こんな生活が長くは続かなかった。私の給料では、毎回外食した後、ラブホテルにいく余裕などなかった。クレジットカードの利用枠の金額は目一杯使ってしまった。クレジットカードの明細を妻に見られていることすら考えず、私は彼女との時間にのめり混んでいた。この時妻が探偵に浮気調査を依頼していたことを知る余地もなかった。
妻は私の言動を見て怪しいと思っていたのだろう。私には普通に接していたが私に悟られないように福岡の探偵に浮気調査を依頼したのだ。
私達は、そんな事に全く気付かずに二人の時間を楽しんだ。
ある夜、私の時限爆弾は破裂した。妻は冷たいまなざしで一言もしゃべらず私を睨み付けた。この沈黙が長く続けば続くほど恐怖心が増していった。
これは、私の浮気がばれたと察した。妻は黙って浮気調査の報告書を私に見せた。そこには私と浮気相手がラブホテルに入る写真が何枚も載っていた。
私は観念した。妻は「あなたは私と離婚するきなの。私と離婚してその女と一緒になるの?」と聞いてきた。愚問の質問だった。正直言って妻とも離婚したくないし、彼女とも別れなくなかった。しかし、そんな事が出来る訳がない。
私は妻に「彼女とは別れるから離婚しないでくれとお願いをした。」妻は腕組みをしながら黙っている。また恐ろしい沈黙だ。私は彼女とは別れたくなかったが妻と離婚したくなかったので彼女と別れる決心をした。妻の沈黙は続いた。
