大学をでて就職先で仲良くなった3歳年上の男性と私は結婚した。私達は子宝に恵まれず夫と二人暮らしだ。
夫と40年共に暮らしてきたが最近夫と食事するのが億劫になる。新婚の頃は気にもしなかった夫の言動がいちいち気になってしまう。例えば、食事の時舌を出しながら食べる姿やクチャクチャと音をたてて食べたりとやたら気になる。ゴールデンウィークが今年は10連休だ。私には苦痛しかない。二人で出かける訳でもなくどうせ1日中家に閉じこもり用がある時だけわたしの名前を呼ぶ。私は夫の家政婦でもヘルパーさんでもない。私は40年間連れ添った妻である。
夫は定年退職後、朝の散歩以外はずっと家にいる。四六時中私は夫と一緒だ。
夫がまだ現役でサラリーマンをしていた頃は部下にあれしろ、これしろと命令口調で対応していただろうが、家の中では私が夫の上司なのだ。だって主婦には定年退職がありませんから。毎日毎朝夫と生活することは苦痛た。朝からコーヒー入れてと昼過ぎにはお茶を入れてと私を駒使いする。私が自らコーヒーかお茶を飲みますか?と聞いてコーヒーやお茶を入れるには抵抗はない。気持ちよくコーヒーやお茶を入れることが出来るが夫はこの家を会社かなんかと間違っている。
夫は生真面目な性格で忘年会や新年会、親睦会などは出席しお酒を呑むこともあるが年に三回程度だ。勤務が18時に終わり帰宅するのは19時。いわゆる直帰だ。夫の存在が目ざとく感じているので実は私は夫と離婚することを考えている。例えば、夫に愛人がいれば探偵社に浮気調査を依頼してその証拠を使って有利に離婚できるはずだが夫には女はいない。なぜわかるのかと聞かれればだって夫は退職してからずっと家にいる。夫の携帯はならない。どう考えても夫は白だ。
夫が浮気していたら慰謝料請求して、一人で気ままに生きていけるのにと私は頭を抱えた。夫の食事する姿を後何年見るのだろうとお茶を飲みながら考えていたら心が重くなった。
私の夫の場合、浮気調査なんか必要ない。問題は私がどう夫と接するかだ。一緒に生活して一番の苦痛は一緒に食事をすることだ。美味しい料理も一緒に食べる人で味が変わるように思う。夫と一緒に食べてもほんと食事がまずくなる。
私は本心を夫に伝える事にした。「あなたの食事の仕方が気に入らない」と少し感情的に言った。夫は「?」見たいな顔してコーヒーカップをソーサーにゆっくり戻し、「お前は何が言いたいんだ」と聞いてきたので「複雑な思いよ。仕事ばかりしてきたあなたにはわからないことよ。」と冷たくあしらった。
私達は何度も話し合いをした。勿論これからのことだ。私は「食事は別々に摂りましょう」と提案したが、夫は不満気だった。しかし私は正直に話し離婚まではいかないが私が生活しやすいように協力してと悲願した。
夫はそれ以降一人で食事をするようになった。少しかわいそうになったので週に3回は夫と食事をとるようにしている。
一度は離婚を考えたが夫婦なんてそんなもんだと思い、残りの夫婦生活を楽しむ方法を夫と考えて見ようと思う。
