私の夫は五年前に突然姿消した。勿論警察に行方不明の届け出はしたものの警察は話は聞いてくれるが何もしてはくれなかった。事件性がなければ警察は動けないらしい。
まー確かに1億2000万人の国で毎年8万人が姿を消している。 警察庁の統計によれば、2013年度中に「行方不明者届」が受理された不明者の数は8万3948人に上る。それに対し警察職員の数は総数29万3,762人となり、このうち都道府県警察の定員は28万6,041人と警察庁が調べた数字だ。
行方不明の届け出をだしても警察官の人数ではなにもしないのではなく何もできないのが現状なのかもしれない。
私は夫が今どこで何をしているのか、元気にしているのだろうか、別の女性と一緒に生活しているのではないかと、考えだしたらきりがない。しかし私は探す手立てがない。どうしよう?と悩んでいると知人から探偵に捜索依頼をしてみてはどうかと提案してくれた。
探偵なら探せるかもと期待して探偵事務所を訪ねた。相談員が丁寧な対応をしてくれたので最初は探偵を警戒していたが安心して相談することが出来た。
相談員と今後どうするか話し合った。「家を出て五年もたっていたら探せる可能性は高い」と探偵は言った。なぜですか?と尋ねると「情報社会なので何かしらの情報を得ることが出きるからです。」それを聞いて私は探偵に捜索の依頼をすることにした。
捜索依頼をしてから一週間後探偵から夫の居場所が判明したと連絡が入った。
私は急いで夫のいる町へと車を走らせた。夫とは五年ぶりの再会だ。夫はタクシーの運転手をしていた。そしてタクシーで車中泊をしていた。「あなた女性と一緒に暮らしているの?」と尋ねると「いや一人だ、ずっと車中泊をしている。お前には悪いが俺の事はもうほっといてくれ。家にかえるつもりはない。」と言われた。それを聞いて私は虚しくなった。一体何があったのか夫は何も語らなかった。渡は車のキーホルダーをいじりながらこれからどうしようか考えた。暫く沈黙状態が続いた。どうしよう?と悩んだ結果私は「あなたが家に帰りたいと思ったら何時でも帰ってきていいからね」とだけ告げて私は家に帰った。元気にしていることがわかって良かった。私は夫の帰りを気長に待つ事にした。どうかお願い夫よ早く帰ってきてと神に祈った。
