凍りつくよな夜。私はひとりソファーに座り、淹れたての珈琲を飲んでいる。
私は最近テレビもつけずに塞ぎ混み、ため息ばかりついている。
原因はわかっている。私はどうやら夫に嫌われてしまったようだ。何故嫌われてしまったのかなんかわからない。しかし、嫌われているから、夫は帰りが遅いのだと思う。私はこのままの生活が続くのならば離婚したほうがましだと考えていたら外は明るくなってきた。一睡もしないで私は何気にインターネットで離婚と検索してみると離婚カウンセリングをしているサイトを見つけた。
そのサイトでは、もし離婚をしたいのならば有利に離婚することができると書かれていた。
例えば夫のdvや浮気の証拠が取れれば配偶者に慰謝料を請求する事ができるということだった。無知な私はこのサイトに書かれている事をメモしながら読んでいった。
私は夫が浮気しているか正直わからない。しかし、怪しい言動はある。毎日帰宅が遅いのは、なぜか、私を嫌って遅く帰宅しているのか、それが本当かはわからない。真相は実は何もわかっていない。ただ毎日気が伏せって生活しているばかりだ。
正直夫と離婚すれば私は行くところがなくなる。私の両親は3年前この世を去った。私は頼る所がないのだ。
どうやらそろそろ本気でこれからの事を考えなければと思い始めた。塞ぎ混んでいる場合じゃない。
今の現状から抜け出さなければならないと思うと私は夫の行動を確認したいと思った。毎日帰宅が遅いのは何故か妻として知るべきだと思うと今までは、夫の行動に無関心だったが、急に気になり始めた。
もし、夫が浮気しているのならば私はどうしたらいいのか悩んでしまう。有利に離婚とは?私は混乱している。サイトを読んで行くと有責配偶者について、説明されていた。不貞の証拠が撮れれば配偶者からの離婚申請は却下されるとの事だった。それなら私は夫の浮気調査をやってみようと思った。離婚したい気持ちはあるが離婚されたら困る。それが正直な感情だ。この年になって社会に出て働きたくはない。有利に離婚ではなく離婚しない方向で私は動いていこうと決めた。
お昼過ぎ私は睡魔に襲われ三時間程リビングのソファーで寝てしまった。目覚めの珈琲を飲み、早速、博多区にある探偵社に相談してみた。電話だと感情を伝えきれないと思い、今から私の家に相談員さんが来て頂く事はできますか?と尋ねた。
相談員は一時間後に伺います。と言ってくれたので、私は簡単にリビングの掃除をして、探偵社の相談員を待った。
ピンポンとチャイムが鳴った。時計を見ると18
時を回っていた。時間通りに相談員はやって来た。私は探偵社の相談員と話しをするのは初めてだったので少し緊張している。相談員をソファーに座ってもらうように促し、私は淹れたての珈琲を出した。
「初めまして相談員の田中です。宜しくお願いします。早速ですが、今の心境からお聞きしてもよろしいですか、言いたくない事は言わなく大丈夫です。」と笑顔で優しく尋ねられたので私は今の感情を遠慮なく相談員にぶつけた。相談員は、親身になって傾聴してくれた。話を聞いてくれたおかげで涙が止まらなくなった。
「我慢してこられたんですね。辛かったでしょう。」と相談員が私の感情に同調してくれたので気持ちが明るくなれた。
一通り話した結果、私は探偵社に浮気調査を依頼する事にした。浮気の証拠を撮って頂き、夫は私と離婚出来ないようにする事に決めた。
私は夫を嫌いになった訳じゃない。一緒に生活する事はできる。相談員は浮気の証拠が撮れれば別居も可能だと教えてもらったが、夫と生活をしたいと思う。浮気していても浮気相手に社会的制裁を与えれば気持ちも前向きになれると思っている。私は今でも夫を愛している。
塞ぎ混んでいたが、私はあっという間に前向きになれた。それは離婚されたら困るという感情が私を動かしたのだ。時計は止まらない。私も時計と同じように動いて行きたいと思う。妻として生きていなかった自分を責めた。私は夫の妻なのだ。妻としと私は家庭を守って行こうと思えるようになった。
浮気調査の結果が出たと連絡が来たのは10日後の事だった。早速私は探偵社に出向いた。
やはり夫は浮気をしていた。私は、正直ほっとした。夫が浮気していなかったら、無駄に調査費用を払う事になっていたし、私は本当に夫から嫌われている事になる。
私はこの浮気の証拠をお守りとして持っておこうと思う。
浮気相手に慰謝料請求するのは今じゃないと思っている。タイミングを見て社会的制裁を与えようと思う。これでとりあえず離婚という選択肢はなくなった。
今後私は夫とどう折り合いをつけるかは状況次第だ。焦らず前向きに考えて行こう。
相談員は「調査は終了しましたがカウンセリングはお電話で対応可能ですので何かありましたら連絡して下さいね。」と言ってくれた。
調査して頂きありがとうございました。と言って私は探偵社を後にした。
夫が私を嫌っているかは、夫の本心を聞かなければわからない。この事だけは白黒つけなければと思っている。私は夫を責めるつもりはない。ただ正直な気持ちを聞きたい。
私は浮気の証拠をソファーのテーブルに置いて夫の帰りを待つのだった。
