ウォーキングをしていると風を感じる。風は少しだけ涼しく感じた。夏の終わりを告げているようだ。蝉達も元気をなくしたように思えた。湿度は高いが秋の訪れはそう遠くはないと感じさせた。
私はウォーキングをしながらいろんな事を回想する。最近は夫のことばかり考えてしまう。夫とは最近コミュニケーションがとれていない。コミュニケーションを取る時間がないのだ。
夫は毎晩帰宅が遅い、車通勤なので事故でも起こしたのではないかと心配になり、夫が帰宅するまで眠れない。心配しすぎなのかも知れないが夫に電話しても連絡が取れない時などは心配で眠れない。
夫は一体どこで何をしているんだろう。まさか浮気!そう思い始めると猜疑心が私を襲う。浮気調査を探偵に依頼するか迷って仕方がない。いや夫に限って浮気はあり得ないと自分に言いきかせた。
私は夫とじっくり話をしなければいけないと思った。私は夫の帰宅を待った。ある日の日曜日、私は寝室から出てこない夫を無理やりリビングに連れ出した。
暖かい紅茶を夫に飲ませた。夫はリビングのソファーに座りうなだれていた。夫に最近帰りも遅いし、休みの日は寝室から出てこようとしない。元気がないじゃないと話しかけるが夫はうなだれ黙ったまま紅茶を飲んでいる。
私は諦めずに夫とコミュニケーションを図ろうと必死になった。気分転換にカモミールティーをいれてあげた。夫はカモミールティーを飲んで深いため息をついて私の顔をチラッとみた。私は夫が話始めるのをじっと待った。カモミールティーを飲み終えた頃夫は重い口を開いた。「実は俺心療内科に通っているんだ。うつ病だと診断された。」と恥じらうように夫は話した。私はなんと声をかければいいか分からなかったが夫が辛いを思いをして生活していた事に私は全く気づいてあげれなかった。逆に浮気しているかも、浮気調査を依頼してみようなんて疑いを持った私は妻として恥ずかしくなった。
夫は誰にも打ち明けられずに一人苦しんでいたのだ。妻である私にでさえ打ち明けられずにいたんだと思うと心が締めつけられる思いになった。私は「言いにくい事を話してくれてありがとう。私はあなたの妻です。遠慮しないで頼ってよと泣きながら夫を抱きしめた。夫も肩を揺らしながら泣いた。」私は夫に「何も心配しないで会社も休職して、家で休養してください。」と伝えると夫は頑なに会社には行く。会社の人間に病気の事は絶対に知られたくないと厳しい顔をして言った。私はうつ病が悪化して自殺なんかしないか心配になった。
今度の診察には私も同行しますから、これからどうしたらいいか先生に相談してみてこれからの事を考えてみましょうと夫に伝えた。
夫は「今は誰とも話したくない。仕事だけはきついけどやる。しばらく一人にしてくれないか」と訴えるように話すと夫は寝室へと戻って行った。
私は夫に何もしてあげられなく虚しくなった。でも私は妻なのだから夫の支えていきたい。私はネットでうつ病について調べることにした。夫を生活しやすくさせる方法はないか必死になって調べた。うつ病で一番重要なのは休養する事だと書かれていた。夫は意地でも会社には自分がうつ病だと知られたくない。と頑なに思っている。私はなんとか時間をかけて休養するように話していきたいと思った。夫が生活しやすくなるのならば鬼にだってなってやる覚悟でいる。
